失敗の本質
戦前から改善できない日本という国の致命的弱点は、
日本企業の弱点、
日本人投資家の弱点
この本を読めば、それが見えてきます。
日本軍の戦略の無さは有名な話
太平洋戦争の犠牲者の多くが餓死・病死でした。
(https://nichirendaihonin.hatenablog.com/entry/2020/12/31/130451)
米軍は戦略的に食料などの補給拠点を攻撃し、日本軍を孤立させていきました。
食料が無くなった日本軍は、餓死した戦友の死肉をむさぼり・・・
しかし、それすらも上官から禁止され・・・
そして日本軍は餓死していきました。
日本軍上層部は会議室だけで考えた無謀な作戦を立て、救出を行わず、降伏したものは残された家族にも責任が及ぶように締め付けました。
戦争では、敵ではなく無能な幹部に殺されたも同然。
ビジネスマンにも人気、70万部越えのベストセラー【失敗の本質】は、
普段、政治の批判やダメ上司の批判ばっかりしていても、結局自分も同じ?
そんな耳の痛い話かもしれません。
しかし、日本の弱点を知ることに価値があります。
弱点を知れば、株式投資にも、今後の人生設計にも生かされます。
80年前の戦争での日本の敗因は、今も本質的に変わっていません。
ここでは、必読の大ベストセラーを読みつつ、その内容を投資戦略に活かそうという話。
失敗の本質1 戦略の誤り
80年前の第二次大戦では、数百万人の命が失われました。
その戦いでも、日本軍は壊滅的な敗北を喫したことはご存知の通りです。
ではなぜ負けたのか。
国の大きさ、つまり人口や資源で負けたと考えがちですが、
そこが本質を見失うポイントです。
政治力、軍事力、科学技術などでは、随所で勝っている所もありました。
だから、第一次世界大戦など、それまでの戦争では負けなしだったんです。
しかし、第2次世界大戦では、
アメリカが合理的戦略で、
現場の意見を聴き、
仕組化で戦って来たため
今までとは話が違いました。
日露戦争で勝利を収め、近代国家の仲間入りを果たした日本は、当時の勝利をひきずっていたのです。
「地上戦主義」
「海軍の艦隊主義」
を過信し、戦闘機やレーダーの発達に遅れをとりました。
第二次世界大戦では、必ずしも白兵戦や艦隊戦が重要ではなかったのです。
米軍の航空機を重視する新しい戦略に破れた日本は、壊滅的な被害を受けました。
空軍より海軍を重要視したため、米軍に遅れを取ったのです。
このように、日々進化していく科学技術や、相手の戦略に柔軟に対応することが、勝利の分かれ目となっていました。
そのような状況でも、日本人は根性では負けていませんでした。
日々鍛錬をして優秀な戦闘員をたくさん育てました。
そして、優秀な戦闘員に、「やればできる!」精神で戦略の無い無謀な戦いをさせました。
結果、多くの優秀な戦闘員が失われることとなりました。
会社でも、今までの古いやり方を引きずって、いつまでも根性論だけで無策な上司
いませんか?
もしくは、会社そのものがいつまでも無策なままだ!なんてこともあるかもしれません。
ビジネスにおいても、戦況と同じで、刻々と状況は変わります。
そして、株式相場においても、日々状況が変わります。
昨日までは米国10年債利回りが最重要指標だったと思ったら、それ以上に個別の決算内容が影響したり、雇用統計に影響されたりします。
昨日まで景気敏感銘柄だと思っていたら、
なんてこともしょっちゅうです。
合理的な戦略の元ですべき判断を、Twitterやネットの情報だけで「ガチホ!!」とかやってしまっていないでしょうか。
自分の部下(資産)の上司は自分です。
ダメ上司になっていないですか?
【失敗の本質】の内容は、仕事や、株式投資、ひいては人生の戦略に直結する本質を教えてくれます。
なぜ株で負けるか?
戦略が間違っているからです。
テクニカル分析、ファンダメンタル分析、資金力、入金力などの総合力で劣っているわけではありません。
運もあるという声もありますが・・・
元手が少ない中から、計画的に運用してFIREを成し遂げた人はたくさんいます。
テクニカル分析で都合のいい解釈をして、優秀なファンダメンタル分析家の情報をつまみ食いし、本業で得た大きな入金力をもってしても、成果はS&P500などのインデックスに負けてしまうケースもたくさんあります。
これは、合理的な戦略が無く、鍛錬、やせ我慢、力技で何とかしようとするやり方が間違っているからです。
こんな日本人投資家の失敗の本質は、日本という国の失敗にも通じるものがあります。
【写真:AP】
例えば、日本という国の新型コロナ対策
- 具体的な戦略が無い(初期の入国管理、マスク、そしてワクチン接種)
- やればできる精神、個人の努力で解決(各自の衛生意識の高さに任せる、度重なる中途半端な緊急事態宣言など)
一方、アメリカは戦略的に対策を行い、日本よりも早く経済再開を実現しつつあります。
日本よりも、個人の努力は明らかに低いということはなんとなく分かるのではないでしょうか。
私も含め、戦争で負けた教訓が生かされていない日本、日本の会社、組織の中にいます。
無意識に、戦略の無いやり方になってしまっていないでしょうか。
日本軍も、最初から戦略が無かったわけではありません。
しかし、日々変わる戦況の中で、目的を見誤り、意味のない戦いを続けてしまったことが最も大きな敗因と言われています。
その一つに、「意味もなく勝利ばかりにこだわりすぎた」ことがあります。
無駄な勝利にこだわったことによる戦略ミスです。
日本軍は、太平洋覇権を巡って、アメリカと25の島を奪い合っていました
日本は25の島のうち、17の島を占拠できました
しかしながら、太平洋の覇権はアメリカ軍にわたってしまっいました
なぜか?
アメリカ軍は、太平洋の覇権を握るために必要な島を戦略的に占拠
不要な島は、意識的に占拠しなかったのです。
一方、日本軍は、いつのまにか島の占拠事態が目的にすり替わってしまいました。
その結果、太平洋の覇権や戦争の勝利という目的を見失ってしまいました。
大きな目的を忘れ、意味のない勝利で戦意を高揚して盛り上がっていきました。
その結果、戦略を忘れてしまい大きなダメージを負ってしまいました。
目的を見失った会社の戦略だけが独り歩きして、本質を忘れた仕事に皆が没頭してしまう風景ってないですか?
日本が技術立国から没落しつつあることにも共通します。
1980年代は半導体などの技術で世界を席巻していた日本
半導体技術の進歩だけに気を取られ、それを活用していい製品やサービスを作るアップルやマイクロソフトなどにやられてしまいました。
一方株式投資に目を移します。
個人投資家が着実に資産形成をするためには、全米株式や、全世界株式のインデックスを淡々と積み立てることがもっとも成果が出ると言われています。
運用のプロのファンドマネージャーですら、インデックス投資に長期で勝ち続けることはできないというのが常識です。
では、なぜ個別株投資をやるのか?
それは、長い年月ではインデックスには勝てなくても、一時的には容易にインデックスに勝てる相場がやってくるからです。
その時にトレードの技術が無ければ十分な成果が得られないので、普段はそれを鍛えるために、少額の個別株投資で勉強しておくことに意義があります。
でもその目的を見失って、個別株で普段から勝利を重ねることに血眼になっていないでしょうか。
そして資産を減らしていないでしょうか。
日本軍が無駄な島の取り合いで目的を忘れて自己満足に浸っていた状況に似てないでしょうか。
・・・。
エラそうに言ってますが、これ、僕です。
この本に頭をぶん殴られました(笑)
トレードの技術、チャート分析などの努力と、ガチホの根性で、本来の資産を増やす目的を忘れてしまっていないでしょうか。
個別株は、誰でも勝てるときだけ大きく勝てればいいんです。
誰でも勝てるタイミング以外は、普段はインデックス積み立てです。
努力、根性だけが目的になってしまい、本当の目的を忘れてしまってませんか?
最終的に大きな利益に到達することが目的です!
失敗の本質 2 仕組みではなく、個人のスキルに依存していた日本軍
戦闘機バトルの件
当時ゼロ戦の性能が良かったのは確かです。
本来なら日本軍は技術力を駆使して、誰でも勝てる戦闘機、ミサイル技術に注力すべきでした。
しかし日本は、パイロットに訓練をし、職人的な操縦技術を持たせることに重きを置きました。
一見当然のようだが、優秀なパイロット養成は非常に難しいです。
なぜなら、向き、不向きもある中で人員をかき集めていたからです。
そして、せっかく育てても、戦いで破れたら、パイロットごと失ってしまいます。
そうするとまたゼロからのスタートになってしまいます。
一方アメリカは、パイロットの操縦技術はそこそこにして、ミサイル技術を高めるこという戦略に出ました。
パイロットの技術はほどほどにして、ミサイルを改良し、命中しなくても爆破できるものを開発しました。
万一パイロットが撃墜されても、替わりのパイロットの能力はそこそこでいいので、養成はすぐできるので、ダメージは少ないという仕組みです。
人命軽視?かもしれませんが、仕組みとしては合理的です。
その結果、戦争でも勝利し、結果多くの自国民を救うことになりました。
国の命運を分ける重要な戦いに、仕組みや戦略ではなく、鍛錬のみで解決しようと考えた日本の戦略が間違いでした。
失敗の本質1の、戦略ミスにも通じますが、仕組化よりも個人のスキルを優先するという考え方は、今の日本にもはびこっています。
日本の新型コロナ対策が、結局は個人の努力にゆだねられるだけで戦略がダメなのと同じ。
会社においても、すでに陳腐化した政策で成果が出ないのに、それを現場の社員の努力だけで何とかしようとし、不毛な仕事を愚直にやるだけの社員が重宝されたり・・・
投資の世界においても、インデックスでの積み立てという基本をわすれて、自分の力技で相場に勝とうとしていないでしょうか。
すいません。これも僕ですね・・・
この本は非常に勉強になります。(汗)
失敗の本質3 会議室の感覚だけで決断 現場の意見を無視
日本軍の戦略決定は、会議室に届いた耳障りの言いフィルタにかかった情報だけをもとにして決定されてしまいました。
その結果、現場感覚とかけ離れた判断になってしまいました。
その例としては、ガダルカナル作戦があります。
ガダルカナル作戦は、基地から往復2000キロのガダルカナル島の爆撃を行うものでした。
パイロットの体力や、戦闘機へのダメージなどを考えれば、非常に無謀な作戦であることは、現場の声を聞けばわかったことでした。
しかしそれを無視して、会議室の情報だけで判断をしてしまう日本軍の幹部・・・。
鍛錬、根性の成果で、やればできる!という美化された情報・・・
体力的に消耗した状態で戦いに挑み、多くのパイロットが失われてしまいました。
もうひとつ
マリアナ沖海戦では、夜間の戦いに備えて日本軍の現場は暗闇に対応できるようレーダーを開発し取り付けていました。
しかしながら、出撃の時には、日本軍の上層部が、レーダーを撤去しより多くのミサイルを装備するように指示をしてしまいました。
暗い中ではいくらミサイルがあっても無意味であり、新しーレーダー技術が必要でした。
現場感覚ではそれが常識でした。
上層部の誤った判断の結果、何の成果も出せずに終わってしまいました。
現場の情報が幹部に入らなかったのは、美化されフィルターにかかった情報しか伝わらなかっただめです。
一次情報に触れず、美化された情報をもとに会議室で戦略を決断するという致命的なミスが続いてしまいました。
一方、アメリカでは現場での生の声を収集し戦略決定に活かしていました。
自分の会社が現場の声を無視してバカなことばかりやらせるから・・・
あ。愚痴言ってる場合じゃないですね。
株式投資に話を移して考えます。
投資の判断材料とするファンダメンタル分析
ツイッターや、Yahoo!掲示板などのじぶんにとって都合のいい情報を信じてトレードやガチホしていないでしょうか。
いわば、日本軍の幹部が会議室で自分たちの都合がいい情報に基づいて戦略をミスしたのと同じように、都合のいい相場解釈をしていないでしょうか?
株式投資 失敗の本質 解決策は?
失敗の本質を株式投資に活かして、最終的に勝つ!
株や相場は予測が困難なものです。
そのため、戦略や方針が間違っていないか見直す必要があります。
特に、
- 目的を見失い戦略を誤っていないか
- 仕組化された王道の戦略を、自分の努力で越えようという無謀行為をしていないか
- 都合のいい情報だけでトレードしていないか
【失敗の本質】に陥っていないか注意する必要があります。
平日チャートとにらめっこして一喜一憂
週末はお休み
また、チャートをみて一喜一憂
ではなく、
相場の動かない週末には、そもそも、副業として
今やっている投資戦略は間違っていないのか見直す必要があります。
- 長期での資産形成
- FIRE
- 老後の資金
- 家族の為
目的は違えど、それぞれがゴールであり、達成するためのやり方になっているか確認する必要があります。
日本軍がやってしまった、どうでもいい島の取り合い
→スイングトレードでの少ない金額の積み上げにとらわれ、結果インデックスに劣後していないか
投資のプロでなければ、
個別株は、だれでも個別株で勝てる相場が来た時に備えての練習です。
個別株でインデックスに勝ち続けようというのは凡人の投資家が考える戦略としては無謀なものです。
相場の動いていない週末は、自分の投資スタイルが目的からそれてしまい、投資自体が目的となってしまっていないか、考え直す習慣をつけることが、日本人が抱える【失敗の本質】に陥らないために必要ではないのか。
この本が教えてくれました。
- 日本という国の弱点
- 日本企業の弱点、ダメ上司
そんな弱点が、自分の投資成果の敗因につながっているという、非常に耳の痛い話です。
70万部を超える大ベストセラー
【失敗の本質】は、株式投資のみならず、人生設計においても有益な内容になっています。
ぜひ、一次情報に触れて、自分を見つめなおす糧にしてみてはいかかでしょうか。
長い本は苦手!!そんな方には、入門編も出ています。
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いかに大ベストセラーかがわかりますね!