「FRBが金利政策を上昇から転換(Pivot)すると、株価は下落するので、2023年に米国株は暴落が来る」という説があります。
これは本当でしょうか?
【ITバブル期_NASDAQ】
現在の状況は、2000年のITバブル期とよく似ている。
政策金利は、ターミナルレート到達前に逆イールドに。政策金利は上がるのに長期金利が低下し、逆イールド拡大。
利上げ完了前後で、NASDAQは一時的に反発。
しかし利上げ完了後、NASDAQは1/4まで大暴落。 pic.twitter.com/ZJtAxdtdHk— 関原大輔@サラリーマン投資家&ブログ (@sekihara_d) November 17, 2022
一番よく目にするtweetで、フォロワー数も多いため今回引用させていただきました。
(特にこの方と争うつもりはありません。)
2022年はFRBが0.75%ペースで利上げを繰り返しました。
これは今迄に無いペースでの利上げでした。
それもこれも、8%を超えるインフレを抑え込むことが目的の利上げです。
FRBの利上げに伴い2022年は株価下落が続きました。
株価の下落は、FRBの利上げによる企業業績の悪化を織り込むためのモノでした。
2022年末になり、いよいよインフレがピークを付けたと思われるデータが上がってきました。
(https://jp.tradingeconomics.com/united-states/inflation-cpi)
インフレがピークを付ければ、今後は利上げのペースの調整が必要になってくるとの思惑から、株価も上昇に転じ始めています。
上の図のように、過去FRBが利下げに転じる場面で(Fed Pivots)株価は下げに転じています。
これから利上げペース減速→停止→利下げとPivotが行われるなら、これからさらに株価がさがる
という主張と
今までさんざん利上げして株価が下がり、結果インフレもピークを付けました。
株価を苦しめていた利上げが弱まるのだから、今後は株価が上昇するはずです。
という主張が見られます。
どちらが正しいのでしょうか?
ここからは個人的見解です。
2022年10月に底を付けたVTIはじめ米国株は、上昇に転じる
FRBが利下げし始めた後に株価下落 今回は来ないと思う理由
今までさんざん利上げして株価が下がり、結果インフレもピークを付けました。
株価を苦しめていた利上げが弱まるのだから、今後は株価が上昇するはずです。
今回はこの考え方が当てはまると思われます。
先ほどの、SP500とFFレートの図です。
リーマンショックのケース
直近の、リーマンショック(2008年9月)において、確かに利下げ(Pivot)の後に株価下落が起こっています。
リーマンショックは、サブプライムローンからプライムローンへの借り換えができなくなったため、返済不能者が続出→住宅ローンが不良債権化し、アメリカの株価が暴落する「2007年のサブプライムローン問題」が、世界的な金融危機の引き金になったとされています。
リーマンショックの暴落前にくすぶっていた2007年サブプライム問題で株価は下落し始めていました。
そこでFRBが利下げし始めたが、その後追い打ちで2008年にリーマンショックが起きたため、利下げに転じたら株価が下落したように見えます。
利下げ(Pivot)が株価下落のきっかけではない。
ドットコムバブルのケース
ドットコムバブルにおいても、急速なインターネット普及や、2000年問題に対応するための強い需要により、2000年9月には株価は頂点をつけ下落していきました。
2000年9月のタイミングでFRBが利下げに転じています。
2000年9月にFRBが利下げに転じても、さらに株価は下落しています。
これは、ドットコムバブル崩壊後の株価暴落決定打となった事件が、2001年9月11日に発生したからです。
FRBの利下げ最中に9.11の同時多発テロが発生しました。
9.11の同時多発テロが、ドットコムバブル崩壊に追い打ちをかけました。
ドットコムバブル崩壊からの、株価下落はFRBのPivotが原因ではない。
2022年の株価下落は、FRBの利上げが原因
一方、2022年当初からほぼ一本調子で下げた株価。
これは、ウクライナ戦争や、インフレなどが主な原因ではありません。
FRBがインフレ退治のために利上げをしたことが、2022年1年を通しての株価下落の要因です。
FRBの利上げは、ドル高ももたらしました。
ドル高は、GAFAMはじめとするグローバルに稼ぐ米国企業には逆風が予想されます(株安)。
でも、そのかいあって、インフレはピークを付けたように見えます。
インフレ退治の副作用は金利上昇、ドル高を生みます。
これは、グローバルに稼ぐ米国企業にとっては逆風です。
その結果、2022年末にはリセッションの足音が忍び寄っています。
でも、リセッションによる業績悪化→株安は2022年初頭には予測されていて、2022年9月の段階でリセッションを株価が織り込んですでに下がっています。
リセッションの後は、金利上昇が一服し、金利上昇によるドル高に苦しめられていた米国企業の業績も底を打ったと考えることが自然です。
だから、株価が上昇に転じました。
- インフレ
- 金利上昇
- ドル高
株価上昇に逆風をもたらしていた3つの要因が転換するので、株価トレンドは反転すると考えることが自然です。
2022年9月に底を付けた株価はこれから上昇に転ずる
- インフレ退治完了
- 金利上昇は一服
- ドル高は切り返してドル安方向へ進む
通常は、株価下落し始めてから利下げするので、利下げ開始後株価暴落が来ている。
今回は、FRBが利上げすることにより既に株価は調整している。
インフレがピークを付けたため利上げの理由がなくなるので、利上げ一服します。
すると今まで押さえつけられていた株価が反発します。
このことから、株価上昇に期待して、いままで90%以上だったキャッシュ比率を、10%程度に引き下げて、株式比率(主にVTIやVTなどのインデックス)を高めることがよいとおもわれます。